心の力
2020-03-04
今日の夕食後はいつものように後片付けを手伝って頂いた後、支援員の家で余っていた使いかけの折り紙を出し、早速着手し始めます。
教育折り紙の他、セロファン紙や世話人さんが持ってきてくれた千代紙も混ざっています。
みんなでテレビを見ながら少しのんびりしてから折り紙を始めました。
Mさんは様々な折り方を知っています。
金魚、かえる、朝顔、クジラ、風船、他にもいろいろレパートリーがあります。
この日は何かよくわからない物を作り始めました。
「こうやってこうやって・・・」とつぶやきながらみんなに折り紙を渡して時々教えながら折っています。
いささか強引に教えているのですが皆でおとなしくレクチャーを受けます(笑)
どの方も何が完成するのか不思議に思いながら教わっていました。
静かな部屋に点けっぱなしのテレビの音が小さく聞こえています。
立ち姿勢の恐竜が出来上がりました。
上手に立ち姿を折れなかった人の折り紙を直して4体ほどの恐竜の出来上がりです。
Mさんの仲よしは50代のTさんです。
Mさんは20代です。
こちらの方々はお手伝いをすることが好きです。
お二人とも真面目な働き者です。
ちょっと前にお二人でTさんの誕生祝を記念して出かけて行ったと伺いました。
Tさんは入居時、俯き加減で表情が乏しくあまり笑いませんでした。
世話人さんや支援員が話しかけても下を向いて、気持ちが読み取りにくい中、ご自分のこだわりのある事については同じ話を繰り返すので、対応に困る事もありました。
Mさんはみなさんより少し遅れて入居してきたのですが人懐こい働き者です。
Mさんが休日にお祭りやカラオケにTさんを誘って行き、良い刺激を受けたせいか、Tさんの表情が徐々に柔らかくなり自然な笑顔が増えていきました。
Tさんがとても優しい心根の持ち主であることもわかってまいりました。
一人で意思決定して行動することが苦手なTさんが、Mさんと一緒にいるとこんなに自分の気持ちを表現するように変わるなんてと内心驚いています。
いつも寂しそうに俯いていたTさんがほほ笑むのを見て安堵と幸せな気持ちが湧き上がります。
Mさんは就労先でも介護施設で沢山の高齢者の方々と接してこられますが、ホームに来るとまた手伝う姿勢で入室して頂けます。
「疲れているのでしょうから無理しなくていいですよ。」と伝えても「だいじょうぶ!」と答えます。
人の面倒を見る事が好きだし、ご自分に関心を持ってもらいたい気持ちも強く持っていたりもします。
良い意味で色々なことに関心があり、とても多幸感を感じながら生きている彼女を中心にこのホームがまとまっているように感じる時もあります。
時にはMさんの警戒心の薄さが災いして放っておけない事態になる事もあります。
支援員もハラハラしたりドキドキしたり。
そんな時は担当支援者と聡明なご家族様と一緒におおいに悩みます。
けれど、Tさんに笑顔が増えたのはMさんの前向きな心の力だと思っています。
世話人さんと入居者皆様の努力もあり、よいまとまりが生まれたのだと思います。
いつもありがとうございます。
忘れ物に気を付けて、健康第一で明日も一緒にがんばりましょう。